全国で唯一、赤い瓦の天守全国で唯一、赤い瓦の天守

現在の鶴ヶ城の屋根は、鮮やかな赤瓦で葺かれています。これは日本国内に現存・復元されている天守の中でも唯一の例で、多くの観光客が「なぜ会津だけ赤いのか」と疑問に思うポイントです。

答えは、雪国の気候にある答えは、雪国の気候にある

通常の瓦は「いぶし瓦」と呼ばれる灰色〜黒色のもので、表面に薄い炭素膜を作って仕上げます。しかしこの製法の瓦は水を吸いやすく、会津のような寒冷地では、しみ込んだ水分が冬に凍結・膨張して瓦を割ってしまう「凍害」が起きやすいという弱点がありました。

地元では常識、観光ガイドでは省略されがちな話

この弱点を解決するために採用されたのが、鉄分を含む釉薬をかけて高温で焼き上げる「赤瓦」でした。釉薬が瓦の表面をガラス質でコーティングすることで吸水を防ぎ、凍害に強くなります。つまり赤瓦は美観のためではなく、会津の厳しい冬を越すための実用的な技術だったのです。

いつから赤くなったのかいつから赤くなったのか

記録によれば、鶴ヶ城が赤瓦に葺き替えられたのは江戸中期、寛保年間(18世紀前半)頃とされています。それ以前は他の城と同様、いぶし瓦だったと考えられています。現在の天守は1965年に再建されたものですが、外観の復元にあたってはこの赤瓦の伝統が踏襲され、平成以降も定期的な葺き替えが行われています。

「白亜の名城」という呼び名との矛盾?「白亜の名城」という呼び名との矛盾?

鶴ヶ城はしばしば「白亜の名城」と紹介されますが、これは白壁を指した表現で、屋根の赤瓦とはまったく矛盾しません。むしろ白壁と赤瓦のコントラストこそが、鶴ヶ城を他の現存・復元天守と一線を画す、会津ならではの景観を作り出しています。